2024.07.26
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ロックバンド[Alexandros]の書き下ろし楽曲「Boy Fearless」を使用した予告映像が解禁となりました。年間約200本もの映画を鑑賞するほど映画好きで有名な[Alexandros]の川上洋平は、かねてより黒沢清監督の大ファン。インスパイアソングのオファーを受けて今回のコラボレーションの依頼を即決。不気味なギターリフと焦燥感を煽るような重低音で構成された楽曲「Boy Fearless」を作り上げました。

この楽曲を聞いた黒沢監督は、「 [Alexandros]の曲を聞き、凄いスピードで物事が次々と進行する快感と不安とを同時に感じました。もっと先が知りたい、でも知るのが恐い… それはまさに私がこの映画で観客に味わって欲しかった感情そのものです。見事という他ありません。映像だけではどうしても曖昧になってしまう表現を、音楽は時に驚くほど正確に伝えることができるのでしょう」と大絶賛。そして「Boy Fearless」が、9月18日にリリースされる[Alexandros]の最新シングル「SINGLE 2」に収録されることも決定しました。

解禁された予告映像は、「転売ヤー」としての日常を送る主人公・吉井(菅田)の日常を活写するシーンからスタート。「どこかがおかしくないですか」「馬鹿にしやがって」と、ただ自分の利益を求め、手段を選ばない吉井が無自覚にばら撒いた“憎悪”に対する言葉たちがネット社会の闇へ吸収され、気がつけば「こいつ殺す」と、ネット社会で憎悪の標的になっていた…。「どんどん、沸き上がってる。同じような人間が。空の雲みたいに。」と、映画のタイトルを連想させるような意味深なセリフが差し込まれると舞台は一変。“見えない悪意”が暴走し、実体化した匿名集団による“狩りゲーム”へ。標的となった吉井に次々と危険が降りかかる…。吉井を演じた菅田将暉さんがかつてないほど追い込まれ、緊迫感にあふれる予告となっています。鋭い眼光を向ける窪田正孝さん、古川琴音さん、奥平大兼さん、岡山天音さん、荒川良々さんらの不穏な表情にもご注目ください。

2024.07.23
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映画『Cloud クラウド』が、現地時間8月28日から9月7日まで開催される第81回ヴェネチア国際映画祭に正式出品されることが、本日開催された同映画祭の記者会見にて発表されました。本映画祭での上映が、本作のワールドプレミア上映となります。

カンヌ、ベルリンと並び世界三大映画祭のひとつであり、もっとも歴史あるヴェネチア国際映画祭。黒沢清監督作品としては『大いなる幻影 Barren Illusion』(99)、『叫』(06)、『贖罪』(12)、『スパイの妻』(20)に続く5度目の選出となり、『スパイの妻』では銀獅子賞(監督賞)を受賞しています。記者会見では、映画祭ディレクターのアルベルト・バルベーラ氏が、本作を「記者会見では、映画祭ディレクターのアルベルト・バルベーラ氏が、本作を「ヴェネチアを過去幾度となく訪れている黒沢清監督が、今回は新作『Cloud』とともにヴェネチアに戻ってきます!ここ数年で最も多作な日本人監督の1人である黒沢監督ですが、本作では、彼を世界中の映画ファンの間で熱狂的な人気監督に押し上げた、過去の映画で探求したテーマと物語へ原点回帰しています。本作でも前半は現代的なアプローチで始まりつつ、後半はユーモアを交えたガンアクションパートが続き、とびきりクールなラストを迎えます。本映画祭のミッドナイト上映にピッタリの映画だと思います。」と紹介しました。

今回の正式出品に際して、黒沢清監督は「シンプルな娯楽映画を目指した作品がヴェネチアに選ばれたと聞き、たいへん驚いています。菅田将暉の善人とも悪人ともつかない絶妙な両義性が、この幸運を引き寄せてくれたのでしょう。」と喜び、主演の菅田将暉さんは「黒沢監督の作品で、海外の映画祭に行くことをずっと夢見ていました。感謝です。大いに楽しんでもらえることを願っています。」とコメント。

映画『Cloud クラウド』は、アウト・オブ・コンペティション部門での上映となり、同部門では、昨年23年にはウェス・アンダーソン、ハーモニー・コリン、リチャード・リンクレイターといった人気監督の最新作が上映されており、22年にはA24製作・配給の『Pearl パール』(タイ・ウェスト監督、ミア・ゴス主演)、21年には『デューン/砂の惑星』(ドゥニ・ウィヌーヴ監督、ティモシー・シャラメ主演)など、映画ファンに支持されるエンターテイメント性の高い作品を紹介している華やかな部門となります。

2024.07.09
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映画『Cloud クラウド』 本ポスタービジュアルが解禁!あわせてシーン写真6点も解禁となりました。また7月12日(金)から特典⚠転売禁止⚠クリアファイル付きムビチケカードも発売開始となります。

ムビチケカードは、海外用のポスタービジュアルと同様のデザインとなり、「WE ARE ALL UNDER A CLOUD(人は憎しみから逃れられない)」と英語コピーが記されています。特典は、緊迫した様子で何かを一心に見つめる転売ヤー・吉井の横顔の上に浮かぶように「Cloud」ロゴがデザインされ、「NOT FOR SALE」でなく「NOT FOR RESALE」と記されたその名も「⚠️転売禁止⚠️クリアファイル」となっています。

⚠️転売禁止⚠️クリアファイル付ムビチケカード(前売券)  一般 ¥1,600(税込)
7月12日(金)より全国の上映劇場(一部劇場除く)、メイジャーサイト等にて発売開始!
特典内容:クリアファイル (A5サイズ)

今回解禁された本ポスターは、「何か」に向かって銃口を向ける菅田が演じる主人公の吉井の横に、「(君も)狙われている」と狙われているのは自分だけではないと伝える意味深なビジュアルに。本作で初めてガンアクションに挑戦したという菅田将暉さん。これまで撃たれる側の演技は経験したことはありましたが、銃を撃つ演技ははじめて。かつてガンアクションを撮りまくってきた黒沢清監督による熱血指導を受けた、菅田さんの銃の扱い方にもご注目ください。

2024.06.12
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映画『Cloud クラウド』に、赤堀雅秋、吉岡睦雄、三河悠冴、山田真歩、矢柴俊博、森下能幸、千葉哲也、松重豊ら8名の実力派バイプレイヤーの出演が発表となりました。

今回、黒沢清監督の初期傑作『地獄の警備員』で映画初主演し、主人公の警備員・富士丸役を演じ圧倒的な存在感と狂気で魅せた松重豊の出演も明らかに!ドラマ「どうする家康」や映画「青春18×2 君へと続く道」のほか、ラジオのパーソナリティーやエッセイの執筆など様々なフィールドで活躍、日本を代表する名バイプレイヤーの松重豊は、黒沢監督作品には『カリスマ』、『リアル〜完全なる首長竜の日〜』に出演、今回の『Cloud クラウド』へは、11年ぶりの出演となります。

さらに、町工場の社長・殿山宗一役に、黒沢監督作「贖罪」、『岸辺の旅』にも出演した劇作家の赤堀雅秋。演劇以外でも『葛城事件』など映画監督としても作品を発表し、ドラマ「不適切にもほどがある!」などに出演し、役者としても多方面で活躍しています。さらに、その殿山の妻・千鶴役に、大河ドラマ「どうする家康」に出演、多くの映画・ドラマ作品に出演し、黒沢組初参加の山田真歩。岡山演じる三宅が出会う謎の男・矢部役を、黒沢組常連で、黒沢監督が今年発表した配信作品『Chime』で主演を務めた吉岡睦雄が演じています。

そして、人生を見失った男・井上役を『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』での好演も記憶に新しい黒沢組初参加の三河悠冴、吉井を不審視する警察官・北条役を硬軟織り交ぜた演技で数々の映画・ドラマ作品に出演、満を持して黒沢組初参加となる矢柴俊博、下町の模型店の店主・室田役を北野作品にも多数出演、黒沢監督作『回路』『アカルイミライ』に出演した森下能幸、猟師役を演出家としても活躍し、黒沢組には『岸辺の旅』『予兆 散歩する侵略者』に出演した千葉哲也が出演。日本エンタメ最前線で活躍する実力派バイプレイヤーたちが勢揃いし、本作の主人公・吉井を取り巻く、不穏な空気感をより一層際立たせています。映画『Cloud クラウド』は、9月27日(金)より全国ロードショー。

2024.04.23
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主演:菅田将暉×監督・脚本:黒沢清の初タッグでおくる映画『Cloud クラウド』の公開日が9月27日(金)に決定し、特報&ティザーポスター2種のビジュアルが解禁に!

「誰かに狙われている――?」転売で稼ぐ吉井の仕事が軌道に乗り出した矢先、周囲で不審な出来事が重なり、これまでの「日常」が壊されていく……。「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主人公・吉井良介を菅田将暉、吉井の謎多き恋人・秋子役を古川琴⾳、吉井に雇われたバイト青年・佐野役を奥平⼤兼、ネットカフェで生活する男・三宅役を岡⼭天⾳、吉井が働く工場の社長・滝本役を荒川良々、そして吉井を転売業に誘う先輩・村岡役を窪⽥正孝が演じています。

今回、初解禁された特報映像は、菅田将暉が、憎悪の連鎖から生まれ“集団狂気”に狙われる姿をとらえたもの。主人公・吉井の前に突如現れる、袋マスク姿の男。「ラーテル」へ憎悪が書き込まれたネット画面を見ながら「こいつ殺す」という声が聞こえ、突然“標的”となった吉井。なぜ狙われるのかーー?誰に狙われているのかーー?この特報で使用されている曲は、クラシックの名曲ヴェルディ「レクイエム」の「怒りの日」。怒りの連鎖が生む狂気を連想させる楽曲となっています。

あわせて解禁されたティザーポスタービジュアルは、2種類。メインビジュアルは、不慣れな持ち方で拳銃を握り、廃墟にたたずむ吉井。なぜ、追われているはずの吉井は拳銃を持っているのかー?もう一方のビジュアルは、すりガラスの扉の向こうに立つ袋マスクの男。「狂気に狙われる」「“だれもが標的になりうる”隣りあわせの恐怖」とコピーが並び、突然《匿名》の不特定多数者から狙われる恐怖を暗示しています。現代社会に潜む”集団狂気”を描くサスペンス・スリラー『Cloud クラウド』は、9月27日より全国劇場にて公開!

2024.03.13
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【主演】菅田将暉×【監督・脚本】黒沢清の初タッグでおくる『Cloud クラウド』(9月公開)のメインキャストが発表となりました。

本作は、第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した黒沢監督の最新作で、憎悪の連鎖から生まれる“集団狂気”を描いたサスペンス・スリラー。

「何かに狙われている――?」転売で稼ぐ吉井の仕事が軌道に乗り出した矢先、周囲で不審な出来事が重なり、これまでの「日常」が壊されていく……。主演の菅田将暉さんが、「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主人公・吉井良介を演じています。

その主人公・吉井の謎多き恋人「秋子」役に、濱口竜介監督の『偶然と想像』(21)の第一話「魔法(よりもっと不確か)」で主演を務めた古川琴音さん。
つづいて、吉井に雇われたバイト青年「佐野」役に、大きな話題になったドラマ「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」のミステリアスな役柄で強烈なインパクトを残した奥平大兼さん。
そして、ネットカフェで生活する男「三宅」役に、10代の頃から親交がある菅田さんと主演作『笑いのカイブツ』でも共演し、信頼を寄せ合う間柄の岡山天音さん。
さらに、吉井が働く工場の社長「滝本」役に、映画・ドラマ・舞台を中心に名バイプレイヤーとして縦横無尽に活躍する荒川良々さん。
最後に、吉井を転売業に誘う先輩「村岡」役を、映画『ある男』(22)で第46回日本アカデミー最優秀助演男優賞をはじめ数々の助演男優賞を受賞した窪田正孝さんが務めます。

菅田さんとの共演は、古川さんはドラマ「コントが始まる」、岡山さんは『笑いのカイブツ』、窪田さんは『銀魂2 掟は破るためにこそある』以来となり、奥平さんと荒川さんは菅田さんと初共演。黒沢清監督とのコラボレーションは、菅田さんと共に全員初!役者陣の化学反応によって、どのような物語が展開していくのか?ご期待ください。

◆吉井の謎多き恋人「秋子」役 / 古川琴音 コメント
黒沢監督をはじめ、錚々たる共演者の方々、プロフェッショナルなスタッフの皆さんの中に参加できたこと、心の底から嬉しく光栄でした。不思議な後味の残る作品で、題名の『Cloud』が指す意味を考えながら、何度も台本を読みました。私が演じた秋子も、始終違和感の付き纏うミステリアスな役だったので常に手探りでしたが、現場で黒沢監督とやり取りしながらその陰影をつけていき、その過程を楽しみながら、感覚を研ぎ澄ませて演じました。

◆吉井に雇われたバイト青年 「佐野」役 / 奥平大兼 コメント
まず、この作品の台本を読んだ時に、自分が演じる佐野という役についてどのような人物なのかを読み解く時間が楽しかったです。実際の現場では、黒沢監督の演出の元、自分で佐野を表現する事が難しい時もありましたが、同時にとても楽しく、自分の中ですごく勉強になった現場でした。共演させていただいた先輩方とお芝居するのも、お芝居を見るのもとても楽しくて、短い時間でしたが濃密な撮影期間を過ごせたと思います。

◆ネットカフェで生活する男 「三宅」役 / 岡山天音 コメント
菅田さんをはじめ、尖った個性を持つ皆さまとの共演、とても興味深い経験でした。黒沢監督の世界に閉じ込めてもらえた事、夢うつつを行き交うような撮影の日々は、今思い返しても少しだけ宙に浮いていたような奇妙な時間で、とても思い出深いです。黒沢監督が作り出す「Cloud」の世界に、是非とも皆様、迷い込んでいただきたいです。

◆吉井が働く会社の社長 「滝本」役 / 荒川良々 コメント
実はまだ作品が完成してないので観てないのですが…初めての黒沢組参加です!
皆さんご存知かと思いますが名前に黒が入ってますね。で名前は清です。
不思議ですね…そう!まさにこの映画『Cloud』です。あー!デッカいスクリーンで早く観たい!!  

◆吉井を転売業に誘った先輩 「村岡」役 / 窪田正孝 コメント
黒沢監督が描く人間の悍(おぞ)ましさに寒気がしました。
ストレス、ほんの些細なキッカケで人は簡単に悪意に呑み込まれる。
ネットやSNSでは顔も感情も隠せるし、文字や数字の羅列だけで、知らない間に人の気持ちを踏み躙ってるかもしれない。現代人の心の問題を、鋭い切れ味で教えてくれる映画だと思います。ぜひ劇場で体感してもらいたいです。

#映画クラウド   公式X  @cloudmovie2024  公式Instagram @cloudmovie2024

2024.02.13
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【主演】菅田将暉×【監督・脚本】黒沢清の初タッグでおくる映画『Cloud クラウド』の製作が発表となり、公開が9月に決定しました。

『スパイの妻』(2020)で、第77回ベネチア国際映画祭銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞した黒沢監督が映画最新作に選んだのは、顔のみえない社会で拡散する、憎悪の連鎖から生まれる“集団狂気”を描いたサスペンス・スリラー。

主演は、『花束みたいな恋をした』(2021)、『ミステリと言う勿れ』(2023)など数々の大ヒット映画に出演し、俳優として日本映画界を牽引し、アーティストとしても圧倒的な支持を受ける菅田将暉さん。菅田さんは、本作の出演オファーを即決し、『Cloud クラウド』では「ラーテル」というハンドルネームを使い、転売で稼ぐ主人公・吉井良介を演じています。菅田さんと黒沢監督の初対面は、菅田さんの主演作『共喰い』(2013/青山真治監督)で参加した2013年の第66回ロカルノ国際映画祭で、2022年に57歳の若さで故人となった青山監督に紹介された時から10年ぶりに本作の撮影現場で再会しました。

『ミッドサマー』のアリ・アスター監督をはじめとするスリラー・ホラーのジャンルで活躍する映画界の寵児たちが必ずその影響を口にし、90年代にその道を切り拓いた黒沢監督。そのリスペクト魂に応じるかのように、最高にスリリングな作品に着手しました。昨年2023年に、商業映画デビューから40年を迎えた黒沢監督が、サスペンス・スリラー作品に挑むのは2016年公開の『クリーピー 偽りの隣人』以来。菅田さんとの初めてのコラボレーションでどのような相乗効果が生まれるのか?黒沢監督が撮る、誰も見たことがない菅田将暉さんにぜひ注目ください。

現代社会に潜む”集団狂気”を描く映画『Cloud クラウド』は、今年9月全国劇場にて公開。

主演:吉井良介役 / 菅田将暉 コメント
生活の中に潜む、怖さとユーモア。 黒沢監督の頭の中が毎日少しずつ開示されていく撮影は、とても楽しく、贅沢な時間でした。 ピュアで歪な人間のアクションがたまらない。とにかく完成が待ち遠しい。 映画「Cloud」宜しくお願いします。

監督・脚本 / 黒沢 清 コメント
(作品について)現代日本の片隅で、時折まったく無目的と思われる暴力事件が起きることがある。原因を探っていくと、そこにはちょっとした恨みやムシャクシャした気分がインターネットによって集結し肥大していくシステムがあるようだ。私はこうした現象がアクション映画の題材になるのではないかと考え、この企画をスタートさせた。主人公は、ささやかな金儲けによって少しでも人より優位に立ちたいと願う、ごくありふれた男である。この人物が不用意に周囲の恨みを買い、最後には命を賭けた死闘へと引きずり込まれる物語だ。しかし撮影が進むにつれて、私はこの映画がそう簡単にスカッとするアクションにはなっていかないことに気づいた。その理由のひとつは、主演の菅田将暉が驚くべき演技力でこの人物に深い陰影と複雑さをもたらしてくれたこと。もうひとつは、この死闘が思いがけず“戦争”の様相を見せ始めたことだ。金儲けと復讐が折り重なって増幅され、ついに暴力が作動し、気が付いたらもう引き返せなくなっている。現代の戦争も、ひょっとするとこのようにして起こるのかもしれない。

(主演・菅田将暉さんについて)菅田さんは、誰の目も釘付けにする俳優だ。何と言ってもあの顔つき、そして声、立ち姿、奥の方にいても一発で菅田将暉とわかる唯一無二の個性があらゆる場面から立ち昇る。にもかかわらず、人混みの中だと市井の人物に溶け込んでしまう一般性、庶民性のようなものも同時に持ち合わせている。持って生まれた資質と計算とを巧みに組み合わせることのできる実に聡明な方なのだろう。そんな菅田さんにお願いした主人公吉井良介は、真面目で一途な悪党という、現代日本映画ではほとんど見かけない人物である。キャラクターの分類としては矛盾しているのかもしれない。しかし菅田さんはこの難しい役を極めて繊細に、かつ堂々と演じてくれた。繊細な部分が計算で、堂々としたところが資質なのか、あるいはその逆なのか、どちらかはわからない。いや、どちらも計算かもしれない。それとも全ては直感なのか。正体は不明だが、この正体不明こそ大スターの証なのだなとあらためて納得した。

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