この度、『Cloud クラウド』で菅⽥将暉さん演じる吉井にバイトとして雇われる謎のアシスタント“佐野”を演じた奥平⼤兼さんとともに、聞き⼿に映画感想TikTokerしんのすけさんを迎えて、“佐野”という役を深堀するトークイベントを開催いたしました︕
本作が撮影されるにあたって俳優の皆さんに配布されたのが、各登場⼈物の裏設定が書かれた資料。通常、⿊沢監督はこうした資料をつくることはなく、今回の資料に関しては助監督が作成されたそうで「読むかどうかは役者に委ねる」というスタンスの上で、黒沢監督が作成・配布にOKを出したという資料だそうですが、奥平さんは⿊沢監督から「できるだけ読まないで」と直接⾔われたとか。「佐野は謎だらけの役で『何を基準に演じればいいんだろう︖』という疑問が台本を最初に読んだ時からずっとありました。⿊沢さんに初めてお会いする時は、役柄についてたくさん聞こうと思っていたんですけど『設定資料はできるだけ読まないで』と⾔われて、⿃肌が⽌まらなかったです(笑)。僕は出演陣の中でも⼀番若⼿で『頑張らなきゃ︕』という気持ちもある中、不安しかなかったです」と当時の⼼境を明かすも、現場で奥平さんから役柄について⿊沢監督に細かく質問をすることもなかったようです。「今回の⿊沢監督の演出は、いままで全然違って、すごく楽しかったんです。⿊沢監督に現場で何を⾔われるのか︖楽しみに待っていたところがあって、たしかに現場でこちらから役について質問したことはなかったかもしれません」と、役者から愛される⿊沢清監督の演出について話してくださいました。
⿊沢監督から驚きの指⽰をされたというエピソードでは、⻑回しで撮影された、佐野が菅⽥さん演じる吉井のパソコンを勝⼿に触ったことが露⾒するというシーンで、なんと奥平さんは「前⽇に⿊沢さんから『菅⽥将暉を超えてください』と言われたんです…。芝居を始めてまだ4年⽬の⼈間が、世界の⿊沢清監督に⾔われる――あれは⼀⽣忘れないと思います。ビビり散らかしていましたね(苦笑)」と当時の心境を振り返りながら語ってくれました。⿊沢監督がそのように⾔った理由について、奥平さんは「あの辺りから、佐野の存在がより謎になってくるんですよね。最初はただのバイトだったのに『なんだこいつ︖』いう感じが、際⽴っていくんです」と佐野の謎がどんどん深まっていく重要なシーンだったからではないかと考察しているそう。
そして、海外の映画祭で本作が上映される際にドッと笑いが起きていたという、佐野の「アシスタントですから」というセリフについて、「あの回答⾃体が、聞かれた質問の答えにはなってないんですよね(笑)。でも佐野は真⾯⽬に⾔っているんです。そこに不気味さがあるし、『何考えてるんだ︖』というのが引き⽴てられるセリフだと思います」と語りました。
そして、この⽇の観客の皆さんに対し奥平さん自ら、本作を⾒て「怖さ」と「笑い」のどちらを強く感じたかを質問するという場面も。客席は「怖い」と感じたという⼈が多数を占めつつ、「笑い」を感じたという観客も⼀定数⾒られた結果に奥平さんは「この結果がすごいなと思います。なんで全く違うこの要素で、こんなふうに⼆分化されるのか︖そこがこの映画の⾯⽩さでもあると思います」と⿊沢監督がつくりだした独特の奇妙な世界観、鑑賞後感に改めて驚いていました。ちなみに、⿊沢監督は海外メディアからの取材に対し、佐野について「悪魔(メフィスト)のような存在だと思ってもらっていい」と⾔明していますが、奥平さんはそのことについて、「(現場で⿊沢監督から)直接、そう⾔われたかは覚えてない」と語りつつも「演出や台本、物語の進⾏を⾒ていて、悪魔的な⽴ち位置というか、吉井を(地獄の)渦の中に連れこもうとしている節があるのは感じていました。でも(吉井の)味⽅でもあって……」と回答され、演じる上で“悪魔”ということを意識したかを尋ねられると「全くなかったです。もちろん、佐野がどう⾒られるかは⼤事なんですけど、正直なところそれどころじゃなかったです。佐野が何をしたいのか︖吉井をどのように導くのか――︖ 佐野としての⽬的しか考えてなかったですし、⿊沢監督の演出もあって、それが結果的に悪魔の象徴のような役になったのかなと思います」とふり返っていました。
また劇中の松重豊さんと奥平さんの共演シーンに関しても、先述の菅⽥さんとのシーンと同様に⿊沢監督から奥平さんに「松重豊と対等の存在感を出すように」という“圧”(︕)が掛けられたというエピソードも飛び出しました。奥平さんは「どうしたら松重さんの貫禄に抗えるんだろう︖ とすごく考えましたが、リラックスして『3 ⽇に⼀度くらい、こういうことってあるよな』という感覚でなんとか乗りきました」と独特の対処法を明かしてくれました。
銃撃シーンも⾮常に印象的な本作。⿊沢監督は、あえて銃撃戦を「カッコよく描かないよう」に腐⼼しており、奥平さんも「カッコつけないでください」と⾔われたそうです。その⼀⽅で、佐野はノールックで相⼿を撃つなど、銃の扱いにも慣れた様⼦を⾒せなくてはならなかったと苦労を語り、「スマートに銃が扱えるようにということで、とりあえず⼿に慣れたほうがいいなと思い、家の中でずっと持っていました。本当は、外でも隠して持っていたかったんですけど、さすがにそれは良くないなと(笑)家の中だけでずっと持っていて、おかげで、⽚⼿でいろんな動きができるようになりました。ライフルも弾を押し出す動作があって、それはかなり練習して⾃信もありましたし⿊沢監督からも『うまくできていましたよ』と⾔ってもらいました」と笑顔で振り返っていました。
銃の扱いや描き⽅に関してこだわりが強いことで知られる⿊沢監督。奥平さんはそんな⿊沢監督の気質や好みをよく知る現場の制作スタッフから「現場でコソコソっと『ちょっと(銃を)斜めに持ったら、⿊沢監督が喜ぶと思うよ』と教えていただきました。完成した映像を⾒て、何気ないけれど良く映っていることが確認できて嬉しかったです」と満⾜そうに語る場⾯も。
ちなみに、気に入っている佐野のセリフやシーンを尋ねられた奥平さんは、クライマックスシーンでの佐野の「吉井さん、凄いですね︕」をというセリフを挙げて、「佐野史上⼀番嬉しかったんじゃないかってくらい、嬉しそうに演じました」と語り、その後、佐野や吉井が繰り広げる会話についても「こういった極限状況では、⼈間ってこうなるのかもしれないと考えさせられました」と語りました。
そしてトークイベントの最後に奥平さんは「僕⾃⾝、佐野のバックグランドについて知らないまま演じましたが、映画的な役割や⽬の前の⽬的にフォーカスをあてることで、役ってこんなに⾯⽩くなるんだと教えてもらったのがこの映画でした。佐野以外にも、荒川良々さんが演じた役もめちゃくちゃ⾯⽩かったし、細部まで魅⼒的で、⾯⽩さを⾒出せるところがたくさんある映画だと思います。何年か後、10年後でもいいですし、2回、3回、4回と何回も⾒ていただけると嬉しいです」と本作への思いを熱く語り、会場は温かい拍⼿に包まれて終了しました。
この度、第29回釜⼭国際映画祭にて、<アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞>を受賞した⿊沢清監督をお祝いすべく、主演の菅⽥将暉さんも駆けつけた受賞記念トークイベントを開催︕公開後の今だからこそ話せる裏話盛りだくさんのトークを繰り広げました。
<アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞>は、その年のアジア映画産業に⼤きく貢献した⼈物を表彰するもので、過去には是枝裕和監督や⾳楽家の坂本⿓⼀⽒も受賞した賞。菅⽥さんは冒頭の挨拶で「⿊沢監督、おめでとうございます。世界中にファンの⽅がたくさんいて、今更かもしれませんけど、すごく嬉しい気持ちです」と祝福。その⼀⾔に⿊沢監督は「がんばりました」と笑顔で応えた。つづけて、釜⼭国際映画祭での思い出として、映画『新感染』シリーズや、菅⽥さんも出演したNetflixドラマ「寄⽣獣 -ザ・グレイ-」でも知られる韓国のヨン・サンホ監督との現地で交わしたやりとりについて披露。ヨン・サンホ監督は『Cloud クラウド』公開に際して本作を絶賛し、「主演の菅⽥将暉は本作で、⿊沢清監督の独創的で明確な映画の⾊を完璧に表現している。それは単に『芝居が上⼿い』ということではなく、それ以上の意味として、映画を俳優が⽀配していると⾔える」と菅⽥さんの存在感を称賛していましたが、⿊沢監督はこの「菅⽥将暉が映画を⽀配している」という表現がいたく気に⼊ったそうで、現地でヨン・サンホ監督本⼈にこの表現を「使わせてもらいたい」とお願いしたというエピソードも!⿊沢監督は「あまりに良い表現なので、それ以来、取材を受けると、そのように⾔うことにしています(笑)」「何⼈もの⼈から『脚本で最初から菅⽥将暉を当て込んで書いたのか︖『(菅⽥さんを)イメージして書いたのか︖』と聞かれたんですよね。『いやいや、最初は誰とも決めずに書いたんだ』と⾔ったけど、菅⽥さんのためにつくった映画みたいに⾒える――それは、何となく映画のテイストを菅⽥さんが全部コントロールしているような雰囲気を最初から持ってしまっているってことなのかなと」と満⾜そうに語りました。
「寄⽣獣」に出演した際のヨン・サンホ監督との思い出について聞かれた菅⽥さんは「⽇本のカルチャーに詳しいし、リスペクトがすごくあるので、当然、⿊沢監督の作品も⼤好きなのもわかる。特にホラーとかスリラー、怖い作品がタイプでそこを熱弁されていました」と述懐。さらに、怖い映画を撮る監督ながら「⼈柄はすごく柔らかくてフランク。『仕事が終わったら、すぐ帰ってお⽗さんをやってるんだ』と⾔っていました」と明かし、「僕が⼀時期、韓国のチキンム(韓国⾵の⼤根ピクルス)にハマって作ってたんですが、その話をしたら『僕も毎⽇、家で作ってるよ』と⾔ってて<おいしそうなチキンムをつくりそうな⼈だな>と思いました」とそのパーソナリティについても親しみを込めて語ってくれました。
続いてこの⽇は、Xで事前に募集した質問に⿊沢監督と菅⽥さんが回答︕ 「この映画で、もらった⼀番嬉しい感想は︖」という最初の質問に菅⽥さんは「同業ではない普通の友達から『めっちゃ⾯⽩かった』『次に会う時、話聞かせて』と。このテンションでの『⾯⽩い』という感想をもらったのは初めてかも。いわゆる『⾷らった』『泣いた』というテンションの『⾯⽩かった』ではなく『すごく良い時間だった』というテンションの『⾯⽩かった』は初めてでした」と⾝近なところからの嬉しい感想を明かし、⿊沢監督は、事前の予備知識なしで観たという観客からの感想として「僕も『びっくりした』とか『いまの⽇本映画で、こんなのありなんですね』という感想は嬉しかったですね」と答えてくれました。そして菅⽥さんは、⿊沢監督の⾔葉にうなずきつつ「“語彙⼒失ってる系”の感想も嬉しいですね。ヤバいもの体験した、なんて⾔葉にすればいいかわからないけど、なんか楽しかった、みたいな⾔葉も多かったですね」と、これまでにない映画体験ができる本作ならではの感想が多く寄せられていると報告し、笑顔を⾒せながら話してくださいました。
さらに「⼆回⽬以降の観客に向けて『ここに注⽬してほしい』というポイントは︖」という質問に⿊沢監督は「どこで、どんな⾳楽が⼊ってくるかを気にしていただくといいかもしれません。『こんなところで⼊ってくるの︖』とか、普通は⼊りそうなところで、全然⼊ってないとか、『こんな曲が流れるかな』というところで、全くそうといえない曲が流れたり、それなりに考えて、凝って⼊れています」と⾳楽による仕掛けを明かし、菅⽥さんも「僕は、引っ越した時にかかる⾳楽がすごく好きです。 『こんなオシャレなフランス映画に出られて…』という気持ちに、⼀瞬なれました笑」と本作での⾳楽が果たす役割の⼤きさについて⾔及しました。
さらに質問は「ラストシーンで菅⽥さん演じる吉井が⾒せる“表情”について<笑い顔なのか︖ 修羅(怒り)の表情なのか︖ どんな感情を表現しようとしているのか︖>」というものにも及び、 菅⽥さんはネタバレを避けるために⾔葉を選びつつも「完成作を⾒て『こんな感じなんだ︕』と驚きました」と振り返り、⿊沢監督も「とても良い質問だと思います」と笑みを浮かべ、「撮っている時のことをよく覚えてます。脚本には『何となく笑ってしまう』と書いていました。僕は現場では何も⾔わず、菅⽥さんがどんな感じで演じるのか、笑うのか︖ 笑わないのか――︖と⾒ていると『あぁ、なるほど。うまいなぁ。こう演じるのか』と納得しました。表情は笑っていないようにみえるのですが、声で『フッ』という笑い声を⼀瞬いれたんですね。でも顔は笑ってないという絶妙なお芝居をされていて本当に感⼼しました」と菅⽥さんの表情、感情表現のさじ加減を絶賛していました。
ちなみにこのシーン、順番的には後半の様々なアクションシーンよりも以前に撮影されていたとのこと。その為菅⽥さんは「『吉井はどうなるんだろう︖』と。⼼⾝ともにボロボロになった先にスッキリするでもなく、乗り越えたわけではないけど、何か達成してしまった――不特定多数の者から、⼀線を越えて“何者”かになってしまった潔さみたいなものはイメージして演じました」とふり返っていました。
舞台挨拶の最後に菅⽥さんは、改めて⿊沢監督の受賞を祝福し「嬉しい機会に⼀緒に登壇できて光栄です」と語り、⿊沢監督は「まさにヨン・サンホ監督が⾔ったように、菅⽥将暉が⽀配する映画です。決してハッピーな映画ではないかもしれませんが、ダークな菅⽥将暉を存分に楽しんでいただければと思います」と呼びかけ、温かい拍⼿の中、舞台挨拶は幕を閉じました。
主演:菅田将暉×監督・脚本:黒沢清がおくる、“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描くサスペンス・スリラー『Cloud クラウド』は、現在絶賛公開中。ぜひ劇場でご覧ください。
10月2日(水)に開幕した第29回釜山国際映画祭でその年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰する「アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した黒沢清監督が、釜山海雲台にある釜山映像産業センターで開かれた「第29回釜山国際映画祭」が行う「<マスタークラス>黒沢清: ジャンル映画の最前線」に出席いたしました。
事前予約では即完して、20代~30代の映画を学ぶ学生らしい若い人たちで満席になった会場に登場した黒沢清監督。この度の受賞を讃えられ、感想を求められると、「アニョンハセヨ。みなさんお若いですね。若い方がこうやって集まっているのを見ると本当に感激いたします。僕が映画を撮りはじめたのはもう45年ぐらい前・・・もっと前かな・・・はるか昔なんですが、その頃、映画なんか若い人は誰も観なくなった、映画はもう終わると、ずっと言われ続けてきました。日本にいると、僕が参加するようなイベントに来られる方の年齢がだんだん上がってきていて、僕のファンの方もどんどん歳をとってきているなと感じていました。でも、釜山に来るとちゃんと若い方が、次の映画をめざして、こんなにたくさん集まっている姿を見ることができて本当にうれしいです。僕が釜山映画祭に初めて参加したのが25年くらい前、まだ生まれていない方もいらっしゃるかもしれません。釜山映画祭の観客もどんどん新しくなって、またこのように皆さんのような新しい方とこうやって出会える機会をつくっていただいて、映画祭には本当に感謝しています。」と、会場に集まった今後の映画業界を担っていくであろう若い世代の方々にむけて挨拶されました。
続いて司会からは、黒沢監督のこれまでのフィルモグラグフィーを掘り下げた、マスタークラスならではの質問が。「以前のインタビューで黒沢監督は『日本で私の映画を100万人が見ることは永遠に起こらないだろう。日本で1万人、海外100ヶ国でさらに1万人ずつ見たら、最終的には100万人くらいは集まるだろうし、それくらいなら結構やりがいがあるんじゃないかと思って映画を作る。』という言葉が印象に残っています。それでも、連続殺人の衝動を掘り下げる刑事・高部(役所広司)の不安を描いた『キュア』をはじめ、監督の映画には「ジャンル映画」的な属性がしばしば見受けられます。 ホラー・スリラーの枠組みを持ちながらも、強烈な自意識をベースに、誰にも真似できない息づかいを見せています。今回上映された『Cloud クラウド』もそうだと感じました。もし、ジャンルの枠組みの中で新たな突破口を見つけるとしたら、監督はどのように物語の素材を発見して作業を始めるのでしょうか。これなら映画にできるかもしれないと思ったきっかけがあったりするのでしょうか。」という質問に対して、黒沢監督は「これは映画にとって大変、本質的なテーマだなと思います。『ジャンル映画』という言い方をよくするのですが、それはなんのことか?といわれると、僕にとっては『映画』のことです。みなさんすでに、映画を作ってらっしゃる方もいらっしゃると思いますが、作品をつくるというと、自分の中からこれがつくりたい、こう表現したいという自分の中から湧きでるもの、自分自身を表現するものと捉えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。それはそれで構わないんですが、僕は実はそういう作り方をしていないんです。僕は自分の中から映画をつくっているのではなくて、さまざまな歴史やいろいろな国のなかに『映画』という外側があって、その中から自分のつくるものを発見する、これだったら自分にもできる、こんなものを作ってみたいという。それは自分の中からでてくるものではなくて、映画の向こう側に、まだ見えてはいないのですが、映画の向こう側にあるものを、それを発見するのが、僕の映画づくりなんです。わかりますかね・・・」と語り、改めて「ちょっとでも映画をつくったことがある方ならわかると思いますが、映画って作りたいと思ってそのまま作れるものではなくて、いろんな人の力を借りて、監督ひとりでつくるもでもなくて多くの人たちが集まって、意見を交わしながらだんだんとできていく、そこにある、まだみえてないものをなんとかみんなで探しだす作業、それが映画つくりではないかと思います。作ったことがある方なら少しわかってくださるのではないかと思います。」と回答。つづけて、「あなたはどんな映画を作っているんですか、と聞かれると、僕の中からでてきた作品じゃなくて、映画という大きなかたまりの中にある1本をつくっているのですと言いたいために、映画を作るっているんです、そうというとあまりにもあっけないので、『ジャンル映画』をつくっているという言い方をする、それが僕の偽らざる気持ちですね。」と回答されました。
また脚本に関しての質問がされると「シナリオについては、最低限のことしか書かないようにしています。たぶん、すごくシンプルな脚本になっています。ほかの監督が撮るシナリオとして完成させるのであれば、もっと書かないとシナリオの狙いがわかりづらいと思いますので、脚本としては不完全なものかもしれません。ただ、自分が撮るものなので、この後、自分で付け加えていけばいいという考え方で、今言えるのはこれだけ、というシンプル脚本にしています。セリフが撮影現場で大きく変わることはありません。セリフを、どんな感情で言えばいいのかということは俳優にまかせる形になるので、脚本上には、どう演じてもよいように書いています。」と、自身が監督をするからこそ、自分の作品の中の脚本のあり方について話されました。
さらに、「監督の映画では、その時にその場所にカメラがあるべき位置というものがあるようです。監督の繊細な感覚というべきでしょうか。一つのショットを作るときの厳密さ。一つのショットの中でどこからどこまで繋げて一つのショットを構成するのか、この画面にどれだけの空白をどこに配置するのかをとても長く悩んで選択されているのだと思います。<クラウド>の中で、そのような悩みが入っているショットをいくつか挙げてくださいますか?」という質問をされると、黒沢監督は「夜、吉井のアパートに、辞めた会社の元社長が立っているというシーンがあるんです。あそこをどう撮るかはかなり考えました。主人公が暮らしている生活しているスペースと、立っている社長が見える窓がある場所は離れているんです。吉井が普通の生活しているところからは窓の下が見えないんです。また、この部屋に窓があることもまだ観客はも知らない。吉井が窓のほうへ動かないとわからない。夜ですから、外から照明をあて、窓からは、外にある街がみえているんだということがわかる状態にした上で、吉井が、窓にだんだん近づいていく演出を考えました。そのプランを実現するのに、窓の外に照明を準備しないといけないとか、カメラを5メートルぐらいうごかさないといけないといったことが必要になります。ですが、吉井が普通に生活していた場所と、下から社長がみているという場所が空間としても時間としてもつながっていると、この部屋にこんなにも危険なポジションがあったんだということが、スリリングに感じるのではないかと思いましたので、吉井の生活している場所から窓までをワンカットで撮るというのが1つの大きな目的となりました。でも、カットを分けてしまってもいいんです。分けて撮ることも可能なのですが、分断してしまうと菅田将暉さんの演技も、分断されてしまう。すると、「日常があって」「怖いことがあって」と説明されるだけになってしまう。ただワンカットでつなげて撮影をすると、たかが5メートルですが、菅田将暉さんの芝居も「なんでもない日常」から「恐怖」までひとつながりのお芝居として、彼の中でリアリティをもって演じることができるわけです。このシーンは、カットを割らず、ワンカットで繋げて撮るべきだと思いました。」と回答。ワンカットでつなげて撮ることで、「日常」から「非日常」の境界線を越える瞬間を映像に落とし込み、それによってよりスリリングに感じることができる“黒沢清の映像世界の謎“に踏み込んだお話も飛び出し、生徒の皆さんも興味深く聞き入っている様子でした。
そして最後に、マスタークラスを受講した生徒からの質問があがり、「黒沢監督の映画を『映画』という言葉を使わずに、一言でいうと?」という問いに関して、黒沢監督は「難しい・・・」と熟考。しばらく考えた後、「自分の映画について一言でいってみろと言われると『もうひとつの現実』となりますかね。『物語』という言い方をしたい気もするんですが、いや『物語』ともいえない『もうひとつの現実を作っている』というのが一番近いですかね。」と、世界が熱狂する黒沢清監督の世界観を、監督自身が回答してくれました。
最後の挨拶として「普段あまりいわないようなことを言ってしまいました。ここで話したことは一旦忘れて、映画はご自由に観ていただくのがよいかと思います。」と締めくくり、白熱した黒沢清監督によるマスタークラスは終了しました。
主演:菅田将暉×監督・脚本:黒沢清がおくる、“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描くサスペンス・スリラー『Cloud クラウド』は、絶賛公開中。
ぜひ劇場でご覧ください。
本作で謎のアシスタント“佐野”を演じた奥平大兼さんご本人さんと一緒に、聞き手に映画感想TikTokerのしんのすけさんをお迎えして深掘りするトークイベントを10月18日(金)にTOHOシネマズ日本橋にて実施いたします!皆様のご来場をお待ちしております。
<舞台挨拶開催概要>
【日時】10月18日(金)18:30の回(上映後 イベント)
※マスコミあり
【会場】TOHOシネマズ日本橋
東京都中央区日本橋室町2-3-1 コレド室町2 3F
【登壇者】 奥平大兼さん 聞き手:しんのすけさん(映画感想TikToker)
※登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
<チケットご購入について>
≪ 劇場ホームページ(Vit)≫にて販売いたします。
【PC・スマートフォン】10月11日(金)0:00~(10月10日(木)24:00~)
【劇場窓口】10月11日(金)劇場オープン時~
※シネマイレージ会員の早期購入(10月10日(木)21:00からの購入)対象です。
※予定枚数に達し次第、販売終了
【料金】通常料金
※ムビチケ&割引各種使用可能
※無料鑑賞&ポイント鑑賞不可
【購入制限】お一人様4枚まで
【その他ご鑑賞についての注意事項】
※特別興行の為、ポイント鑑賞及び招待券は、ご利用いただけません。
※全席指定席となります。チケットをお持ちでない方はご覧になれません。
※いかなる場合においてもイベント中の途中入場は固くお断りいたします。
※場内でのカメラ(携帯電話含む)・ビデオによる撮影、録音等は固くお断りいたします。
※会場内ではマスコミ各社の取材による撮影、記録撮影が行われ、テレビ・雑誌・ホームページ等にて、放映・掲載される場合がございます。また、イベントの模様が後日販売されるDVD商品等に収録される場合がございます。予めご了承ください。お客様の当催事における個人情報(肖像権)については、このイベントにご入場されたことにより、上記の使用にご同意いただけたものとさせていただきます。
※インターネット・オークションへの出品その他の転売目的での入場券の購入及び転売はお断りします。
※営利を目的として転売された入場券及びインターネットを通じて転売された入場券は無効とし、当該入場券による御入場はお断りします。
※イベントの予定は、急遽変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
※いかなる事情が生じましても、ご購入後・お引き換え後の鑑賞券の変更や払い戻しはできません。
※車いすでのご鑑賞をご希望されるお客様は座席指定券の購入後、劇場までご連絡ください。車いすをご利用のお客さまは車いすスペースでのご鑑賞となります。車いすスペースには限りがありますので、ご利用人数やイベント実施内容によっては所定のスペース以外でご鑑賞いただく場合がございます。
10月2日(水)に開幕した第29回釜山国際映画祭で、その年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰する「アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞した黒沢清監督が、映画祭の公式記者会見に登壇いたしました。
釜山国際映画祭の印象を問われた黒沢監督は、「釜山映画祭には何度も来ていますが、今回は特別でした。名誉ある賞をいただいて、華やかなオープニングセレモニーに参加して…あんな華やかな場に参加出来たのは初めてで、あんなに長いレッドカーペットを歩いたのも生まれて初めてです。本当に楽しい体験でした。なにより昨日夜のレセプションパーティーの場で、いろいろな国の友人たちと会うことができました。フランスの友人、カナダの友人、香港の友人、もちろん日本の友人も。この釜山映画祭に世界の映画の縮図があるんだなと強く感じています。」と回答され、続いて、「世界で活躍する日本人監督、黒沢清監督…是枝裕和監督…河瀬直美監督…など、イニシャルがKの方が多いですね。黒沢監督が思う才能があると思う若手監督はいらっしゃいますか」と問われた黒沢監督は、「イニシャルがKなら北野武監督もいます」と返答。黒沢監督に指摘された記者は「大事な人を忘れていた!」といわんばかりに爆笑する場面も。その後、黒沢監督が「才能ある若い方はたくさん知っています。一番親しい、若手とはもう言えないかもしれませんが、一番有名なのは濱口竜介だと思います。でも彼は意地のように僕とは違うことをしますから(笑)。それであれだけすばらしい作品を撮っているんで、僕が濱口に対してなにか言うことはありません。えらいところに行ってしまったなという想いがあって、先へ先へと突き進んでくれというのが第一の僕のエールですね。たまにはジャンル映画を撮れ、これが2つ目です(笑)。」と回答されました。
さらに、オープニングセレモニーで、ポン・ジュノ監督からメッセージがあったことについて感想を問われると、「感激しました。ポン・ジュノ監督は昔から何度も会っていて、韓国の友人だと思ってきました。いまでは世界的な巨匠ですから。はるか雲の上の存在です。僕のことに時間を割いてコメントしてくれたんだ、というだけで感激しました。まだ友達でいてくれたんだと(笑)。」と黒沢監督らしい回答で会場を和ませていました。
またその日の夜、「ガラ・プレゼンテーション」部門の公式上映が行われ、黒沢監督の新作をいち早く観ようと駆けつけた若い映画ファンが集まり会場は満席。冒頭のインビテーションに登壇した黒沢監督は、大きな拍手で迎えられました。
その後、上映後におこなわれたQ&Aでは「菅田将暉さん演じる吉井が、善人でも悪人でもない人物から、悪魔に魅入られ、悪の道を選ぶことになる人物へ変化していく様子が非常に興味深かったです。監督はどのような演出をされたのでしょうか?」と韓国でも人気のある菅田さんに関する質問には、「本当にありがとうございます。僕もまさに同じように思ったんです。菅田将暉さんが、すばらしい感情の変化を表現してくれて。ここまでやっていただけると予想していなかったのです。ほんとうにすごく難しい役で、180度人間が変わっていく。どんどん変化していくんです。それの表現を飛躍しながら、観ている人にわかりやすく演じきる、これは菅田将暉さんの才能によるものだと思っています。僕ももっとも感心した部分だったので、それを指摘くれてほんとうに嬉しいです」と返答され、続けて、「僕は心、感情の流れについては説明しましたが、演技の指導はしていないんです。菅田さんに委ねました。さらに、ラストシーンはかなり前半に撮影したので、それがまたすごいなと。大胆な感情の変化を無理なく演じてみせる。そのシーンがどこにくるかを計算して演じている。100%菅田さんの力です。僕は細かいことはいっていません。」と、菅田さんを称え、作品の中で描かれる菅田さんが演じる吉井の細かな感情の揺れを理解してくれたことを喜んでいる様子でした。最後の挨拶を求められると「本当に有意義なQ&Aでした。釜山映画祭のお客さんは質問のレベルは高い。Q&Aを通して僕自身も作品への理解が深まりました。本当に嬉しい時間でした」と締めくくると、場内から黒沢監督へ大きな拍手がおくられました。
“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描くサスペンス・スリラー『Cloud クラウド』は、絶賛公開中!劇場でぜひご覧ください。
現在開催中の第29回釜山国際映画祭にて、黒沢清監督が「アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞」を受賞されたことを記念し、トークイベントの開催が決定いたしました!
10月15日(火)にTOHOシネマズ六本木ヒルズにて、主演の菅田将暉さん、黒沢清監督に登壇いただきます!また当日はお二人に、公式Xで皆さまから寄せられた質問にお答えいただきます。
<質問応募方法>
①『Cloud クラウド』公式Xをフォロー
②【#映画クラウド質問】を付けて菅田将暉さん、黒沢清監督にお聞きしたいことを投稿してください!
<質問募集締め切り>
10/14(月・祝)20:00
投稿してくださった方の中から抽選で2名様に、SHIPSとのコラボTシャツをプレゼント!
詳しくは公式Xの投稿をチェックください✅
皆様のご来場、ご参加をお待ちしております。
<舞台挨拶開催概要>
【日時】2024年10月15日(火)17:30の回 ※上映前 舞台挨拶
【会場】TOHOシネマズ六本木ヒルズ
東京都港区六本木6-10-2 六本木ヒルズけやき坂コンプレックス内
【登壇者】菅田将暉さん、黒沢清監督
※登壇者は予告なく変更になる場合がございます。予めご了承ください。
<チケットご購入について>
チケットぴあにて販売いたします。
【先行抽選プレリザーブ】
受付期間 10月8日(火)AM11:00~ 10月11日(金)AM11:00
結果発表 10月11日(金)18:00頃から順次
【一般販売】
10月12日(土)AM10:00 ~ 10月14日(月)16:00まで
※予定枚数に達し次第、販売終了
【料金】特別料金2,500円(通常席)
・プレミアボックスシート:ご鑑賞料金+1,000円
・プレミアラグジュアリーシート:ご鑑賞料金+3,000円
【購入制限】お一人様2枚まで
≪一般発売に関する注意事項≫
※チケットぴあサイト WEBのみの販売となります。
※決済方法はクレジットカード・後払い Powered by atoneのみとなります。
※毎週(火)・(水)2:30~5:30は、システムメンテナンスのためお申し込みいただけません。
※チケット料金・各種手数料は税込表示です。
※チケット購入に関するお問合わせは、http://t.pia.jp/help/ までお願いいたします。
≪残席がある場合の対応について≫
10/15(火)0:00より劇場オンラインチケットシステムにて、劇場オープン時刻より劇場窓口にて販売いたします。
※オンラインにて完売した場合、劇場窓口での販売はございません。
【その他ご鑑賞についての注意事項】
※特別興行の為、ムビチケカード他、前売鑑賞券・各種招待券は、ご使用いただけません。
※お席はお選びいただけません。
※全席指定席となります。チケットをお持ちでない方はご覧になれません。
※いかなる場合においても舞台挨拶中の途中入場は固くお断りいたします。
※場内でのカメラ(携帯電話含む)・ビデオによる撮影、録音等は固くお断りいたします。
※会場内ではマスコミ各社の取材による撮影、記録撮影が行われ、テレビ・雑誌・ホームページ等にて、放映・掲載される場合がございます。また、イベントの模様が後日販売されるDVD商品等に収録される場合がございます。予めご了承ください。お客様の当催事における個人情報(肖像権)については、このイベントにご入場されたことにより、上記の使用にご同意いただけたものとさせていただきます。
※インターネット・オークションへの出品その他の転売目的での入場券の購入及び転売はお断りします。
※営利を目的として転売された入場券及びインターネットを通じて転売された入場券は無効とし、当該入場券による御入場はお断りします。
※イベントの予定は、急遽変更になる場合がございます。あらかじめご了承ください。
※いかなる事情が生じましても、ご購入後・お引き換え後の鑑賞券の変更や払い戻しはできません。
※イベント上映のチケットを、プレイガイド(チケットぴあ、ローソンチケットなど)でご購入されたシネマイレージ会員様は、劇場チケットカウンターでご鑑賞当日にシネマイレージの鑑賞履歴をご登録いただけますので、お立ち寄りください。
※車いすでのご鑑賞をご希望されるお客様は座席指定券の購入後、劇場までご連絡ください。車いすをご利用のお客さまは車いすスペースでのご鑑賞となります。車いすスペースには限りがありますので、ご利用人数やイベント実施内容によっては所定のスペース以外でご鑑賞いただく場合がございます。
10月2日(水)、第29回釜山国際映画祭が開幕し、オープニングセレモニーでは、名誉ある<アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞>の授賞式も行われ、黒沢清監督が登壇しました。
<アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞>は同映画祭がその年のアジア映画産業に大きく貢献した人物を表彰するもので、これまで、鈴木清順監督、若松孝二監督、是枝裕和監督や音楽家の坂本龍一さんらが受賞しています。
屋外に設置されているメイン会場「映画の殿堂」は、満席の観客に埋めつくされ、途切れることのない歓声と拍手に沸いていました。レッドカーペットに登場した黒沢監督は、詰めかけたファンたちに笑顔で手を振り、カメラを向けられると丁寧に応じられていました。ヴェネチア、トロントでも熱狂的なファンに迎えられてきましたが、釜山でもその人気ぶりは健在。
セレモニーがスタートし、黒沢監督の授賞式へと進むとスクリーンには、ポン・ジュノ監督と濱口竜介監督からサプライズでお祝いのメッセージビデオが!影響を受けた人物として黒沢監督の名を挙げているポン・ジュノ監督は「黒沢監督の長年の、そして筋金入りのファンとして、アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞の受賞、心からお祝いを申し上げます。『CURE』『回路』『トウキョウソナタ』『アカルイミライ』『クリーピー 偽りの隣人』『散歩する侵略者』・・・私が心の底から大好きな作品ばかりです。黒沢監督は我々に常に衝撃と刺激を与えてきました。」と黒沢愛とともに賛辞を述べられました。
また、濱口監督は、「学生時代からたくさんのことを教わって、今自分が仕事ができているのも黒沢さんのおかげだと思っていて、全てを教わった様なそういう気持ちでおります。これからも恐ろしく、そしてなぜが爽快な映画を作り続けていってほしいと思います。その背中をずっと追いかけます。」と恩師でもある黒沢監督へ感謝のメッセージを送られました。
感激した様子で壇上にあがった黒沢監督。スピーチでは、受賞は予想もしていなかったと前置きしつつ、「僕が映画を撮り始めてもう40年になりますが、僕の映画人生の半分は釜山映画祭に見守られていたと言っていいでしょう。その20年間のキャリアが評価され、このような名誉ある賞をいただけたのだと思います。たいへん感激しております」と、笑顔を浮かべながら映画祭への感謝を伝えました。また、「釜山映画祭の観客は、世界で最もハイ・レベルな観客だと僕は思っている。その方たちに、僕の最新作2本をお見せする為に、僕はまた釜山にやってきました」と、『Cloud クラウド』『蛇の道』と2作上映されることを喜び、そして映画祭の観客への熱い思いを伝えると、場内からもそれにこたえるように、黒沢監督へ惜しみない拍手が送られました。
<黒沢清監督コメント全文>
このような素晴らしい賞をいただき、驚いております。予想もしませんでした。
僕が映画を撮り始めてもう40年になりますが、初めて釜山映画祭に参加したのはおよそ20年前なので、僕の映画人生の半分は釜山映画祭に見守られていたと言っていいでしょう。その20年間のキャリアが評価され、このような名誉ある賞をいただけたのだと思います。たいへん感激しております。
と、ここまでは過去の話でした。みなさんが興味あるのはやはり現在ですよね。僕は今年2本の映画を完成させましたが、その2本が両方ともこの釜山映画祭で上映されます。僕にとってはこれが何よりも嬉しいことです。釜山映画祭の観客は、世界で最もハイ・レベルな観客だと僕は思っておりますが、その方たちに、僕の最新作2本をお見せする為に、僕はまた釜山にやってきました。20年前から僕の作品を見続けてくれている方も、今回初めてご覧になる方も、どうぞ楽しみにしていてください。
本日はありがとうございました。
<ポン・ジュノ監督 メッセージ全文>
黒沢監督の長年の、そして筋金入りのファンとして、アジアン・フィルム・メーカー・オブ・ザ・イヤー賞の受賞、心からお祝いを申し上げます。
『CURE』『回路』『トウキョウソナタ』『アカルイミライ』『クリーピー 偽りの隣人』『散歩する侵略者』・・・私が心の底から大好きな作品ばかりです。黒沢監督は我々に常に衝撃と刺激を与えてきました。1人のフィルム・メーカーとして、黒沢監督に今一度感謝をお伝えします。
釜山で素敵な時間を過ごされることを、心の底からお祈りしております。
<濱口竜介監督 メッセージ全文>
おめでとうございます。学生時代からたくさんのことを教わって、今自分が仕事ができているのも黒沢さんのおかげだと思っていて、全てを教わった様なそういう気持ちでおります。
これからも恐ろしく、そしてなぜが爽快な映画を作り続けていってほしいと思います。その背中をずっと追いかけます。改めて、おめでとうございます。
映画『Cloud クラウド』は、同映画祭のメインプログラムでありその年の話題作や世界で影響力のある監督の新作を上映する「ガラ・プレゼンテーション」部門で正式上映されます。
“誰もが標的になりうる”日常と隣り合わせの恐怖を描くサスペンス・スリラー『Cloud クラウド』は、現在絶賛公開中です。ぜひ劇場でご覧ください。
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